ES細胞やiPS細胞というものを聞いた事はありますか?

ES細胞(Embryonic stem cell)とiPS細胞(Induced pluripotent stem cell)はこれからの再生医療において重要な役割を果たす幹細胞と言われています。

今回は最先端の医療に注目した薄毛治療との関係を以下の項目でお伝えします^^

① 幹細胞はどのように作製されるの?

② 再生医療はどのような仕組みで薄毛治療に活かされるの?

③ いつ治療が受けられるようになるの?

① 幹細胞はどのように作製されるの?

 ES細胞は受精後7日目の杯盤胞から抽出した細胞を培養することによって作られます。(1998年 ウィスコンシン大学の研究者によって樹立)。

一方、iPS細胞は皮膚や血液などの採取しやすい細胞から作る事が可能で、自身の細胞を培養させた組織を移植した場合は拒絶反応が起こらないという点で期待されています。(2007年 奈良先端科学技術大学院大学の研究チームによって樹立)

今は生体外で臓器を作って人体へ移植する技術が求められていますが、現在の科学では不可能とされている。

② 再生医療はどのような仕組みで薄毛治療に活かされるの?

人体はまず一つの全能性細胞(受精卵)から分化が始まり、およそ37兆個まで細胞分裂を繰り返すことで人の形が形成されるんです。

要するに受精卵は何にでもなれる細胞といえます。

この細胞分裂の途中に存在する多能性幹細胞(だいたいの組織になれる細胞)に注目した研究チームが、最終的に髪の毛になるであろうとされた器官細胞を採取し、iPS細胞を利用して同じものを生体外で作る事に成功しました。

それは毛根に存在する上皮幹細胞と間葉系幹細胞の反応により髪の毛が生成されることから、これらの細胞がヘアサイクルの大元であると考えられていたからです。

国立研究開発法人 理化学研究所 辻孝先生(つじ たかし)の研究チームが、この2種類の細胞を外部で培養する技術開発に成功し「髪の毛のタネ」を作り出しました。

この髪の毛のタネを将来利用することが出来れば、病気や火傷などの外傷で失った髪を取り戻すことが可能になると期待を寄せています。

③ いつ治療が受けられるようになるの?

辻先生の研究チームは2016年に実験でマウスの上皮に「髪の毛のタネ」を移植したところ、黒い毛が生えてきたんです。(画像2)

画像2

2019年から人への臨床実験が開始される予定だったはずが、2020年の新型コロナウィルスの影響により実験は大幅に遅れてしまっているようです。

この最先端の科学技術を受けようとすると2000~3000万円の費用になると言われています。

医療現場へ進出するまではあと10数年はかかると予想されていて、我々が気軽に受けられるようになるまでまだまだ先は長いと感じますね。

それが気長に待てない方は現在の治療技術で対処していくしかないでしょう…

理化学研究所 多細胞システム形成研究センター